
TUSHEN RAÏ & WARUM
ピークタイムを目指さないセットもある。
むしろそれを曲げ、引き延ばし、やがてダンスフロアから時間の感覚そのものを奪っていく。
Tushen Raï & Warum が存在するのは、その“あいだ”の領域。
Weird Wave が90年代UKレイヴと交錯し、ダブテクノが不安定なアシッドに滲み、プログレッシヴ・トランスが湿度を帯びたスペース・ディスコへと溶けていく場所。何ひとつ固定されたものはなく、すべてはフロアとともに書き換えられていく。奇妙さと分かりやすさのあいだに揺れる、繊細なバランス。
彼らの核にあるのはディガー・カルチャー。
レア盤、オブスキュアなプレス、匿名のテープ。未知の領域を描き出す地図製作者のようにミックスし、片方の目は周縁を、もう片方はフロアに集う身体を見つめている。
パリの Le Rex Club、リヨンの Le Sucre のレジデントとして活動し、そのサウンドは世界へと広がっている。グアダラハラの Bar Americas、東京の WOMB、ボゴタの Kaputt、バルセロナの Razzmatazz、ハイファの Kabarett、ミラノの Tempio del Futuro Perduto、さらにトリノの Futur Festival やドイツの Fusion Festival など、各地でプレイを重ねてきた。
Hard Fist Records を代表する存在としても知られ、同レーベルは26作以上のEPをヴァイナルとデジタルでリリースし、音の探求を続けている。
彼らのプレイは、まるでアシッドに浸かった二人のアーキヴィスト。幽霊を呼び起こし、踊らせるかのようだ。
それはノスタルジーではない。持続。ダンスのために続けられる、終わりなきリサーチの連続である。